学長予定者メッセージ

一人の個人と向き合う治療医学と社会全体を見つめる社会健康医学。この二つが両輪となり、関わり合いながら、健康寿命の延伸に貢献することが世界の医学の新しいスタンダードになりつつある今、我が国では後者について体系的に学び研究を深められる場が不足しています。つまり、先制医療・予防医学とも呼ばれる社会健康医学の知見を世の中に広め、活かすことのできる人材が十分に育っていないのです。こうした状況に加えて、これまでの日常を一変させたコロナ禍で公衆衛生分野に注目が集まる中、いよいよ開学を迎える静岡社会健康医学大学院大学が担う役割は大きいと考えます。

主に超高齢社会に端を発する新たな課題の数々は、医療や福祉の枠を飛び越えて、経済や社会構造にまで影響を及ぼしています。こうした大きな課題に立ち向かうべく、ビッグデータの解析やコホート研究などで導出したエビデンスを基に、未来を健康に生きるための道筋を世の中に示すことも社会健康医学ならば可能です。また、本大学院で取得できる修士号MPH(マスター・オブ・パブリックヘルス)は、医療先進国のアメリカではMD(メディカル・ドクター)やPhD(ドクター・オブ・フィロソフィー)と併記されるプロフェッショナル・ディグリーになっており、いずれ日本でも同様になるはずです。

本大学院は、働きながら学べる環境を整えるだけでなく、学ぶ人の職種を限定していません。その理由は二つです。一つは、実務経験のある人が各分野の専門的な職能や問題意識を持ち寄り、お互いを尊重しながら課題を共有することで、これまでにない発想や解決方法を生み出す機会を創出するため。もう一つは、本大学院での学びの成果をそれぞれの職場に持ち帰り、社会に広く還元してもらうためです。社会健康医学的な考え方が身につくと、データの評価や活用法、目の前の一人に対する問題解決方法も変わるはずです。

あなたが一歩踏み出すことで、静岡の医療が変わり始めます。そして、日本や世界が変わり始めます。熱意にあふれるあなたの参加をお待ちしています。
Profile
1951年静岡市生まれ。京都大学医学部卒。
ミネソタ大学研究員・天理病院皮膚科部長などを経て、
1992年から群馬大学医学部皮膚科教授。
1998年から京都大学大学院皮膚科教授。
2014年から滋賀県立成人病センター(現滋賀県立総合病院)病院長・京都大学名誉教授。
2020年から社会健康医学大学院大学整備推進顧問。
専門は、皮膚科学/アレルギー学など